『われわれは宇宙人だ。日本人の中の代表者と会わせてくれ。天皇陛下と内閣総理大臣の両方だ』


2025年、ついに宇宙人が姿を現し、各国の代表者と個別の面会をはじめた。


その順番は国土面積の大きい順番であり、ロシア、カナダ、アメリカ、中国、ブラジルと続き、日本は60番目であった。


各国とどのような会話があったのか?

それは不思議ないことに一切秘密にされているのか、何の情報も出てこなかった。

各国の元首は宇宙人との面談のあとに一様に「何も言えることはない。何も覚えていない」と周囲に漏らしている。


その場には宇宙人の代表らしきものと、各国の代表だけなので、誰もその会話を聞いたものはいない。

日本だけは、天皇陛下と総理大臣の二人が呼ばれて面会した。


会談で宇宙人は天皇陛下と総理大臣にこう話した。

『われわれは既に主な世界の大国の代表と面会した。
われわれは、地球は景色のいいところがたくさんあるので、リゾート星として利用したいと考えている。

しかも地球上の人間と同じ姿で紛れこんで地球人として同じ体験しながら楽しむのが望みだ。

つまり、平和で安全であることが必要なのだ。

どうやら、日本は一番安全なようだ。
各国のトップに自国を除いて一番安全な国はどこか?と聞くと皆日本だと言っていた。


それで、こっそりと日本に年間2000万人ほど、観光客として宇宙人を滞在させてもらいたい。

そのかわりに日本に何かわれわれの高度な武器にも転用できる技術を差し上げたい。何が欲しいか?』

すると天皇陛下はこう答えた。

「年間2000万人も、皆様方が観光客としてお越しいただけるのであれば、コロナで疲弊した観光業も助かります。何も私達からそれ以上を望むことはありません。」


すると宇宙人はこう話した。

『実はわれわれはまったく同じ質問を各国の代表にしたが、どの国の代表も世界制覇ができる技術を欲しがっていた。それで記憶を消した。

あなた達日本人だけが、何も望まずにわれわれを受け入れる気持ちを示してくれた。


何も望まないと言ったが、その謙虚さを知り、われわれは日本人にある考え方をプレゼントする。

それは、民主主義に代わり世界を平和にし、繁栄するための根本的なアイデアだ。

すぐには広がらないが、必ず民主主義の次の思想としていずれ定着するだろう。それをまず日本人から始めてみて欲しい。』


宇宙人は天皇陛下と総理大臣に民主主義に代わる考え方を伝えた。

そして、姿を消して、二度と現れることはなかった。


その後、日本は観光客が徐々に増加し、2019年に記録した過去最高の3200万人から5000万人へと増加し、日本の経済は持ち直した。


だが、まだ民主主義に変わる制度はまったく出てきていない。



実は、宇宙人は天皇陛下と総理大臣にせっかく民主主義に変わるノウハウを伝えたのだが、今までの癖で会談後に二人の記憶を消してしまったのだ。


あーあー!残念。

でも、年間2000万人宇宙人が日本にこっそり観光に来てくれてるから、まあ、いいか!





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槙島源太郎

作家兼発行人

年齢、住所不詳。謎に包まれるユーモア小説作家、槙島源太郎が贈る笑いの数々。

ビジネス書の作家としても活躍中。

現在まあまあ週に一度のリリースを目指して書き続けている。