「個展や作品集を出すなんて夢のまた夢になったなあ。」
今年60歳になった吉来淳之介は、全く売れない自称彫刻家である。
生活は美容院を営んでいる妻のあぐり頼みである。
「あんた、もう警備員でもタクシーの運転手でも何でもやってよ!それにさ、お店に顔出さないでって言ってるでしょう!」
「なんでだよ!
俺が顔出すからお客さんが『髪結の亭主登場!』って拍手してるじゃないか^ ^
皆んな、俺が店にでてくるの楽しみにしてるんだよ」
「何言っちゃってんの!それね、バカにされてんのよ!
その辺の感覚がなんか違うね、、。
ズレてるっちゅうか。」
「もういいよ。散歩でもしてくるよ。」
「安い割引シール貼ってるの、スーパーでなんだりかんだり買ってこないでよ!もうみんな噂してんだから!恥ずかしいったらありゃしないよ!」
「俺さ、多分病気なんだよ、、。あの割引シール見ると要らなくても知らないうちにカゴに入れてんだよなあ。」
「この前の半額のカセットテープさ、あれどうすんの?うちにカセットデッキ無いんだよ?メルカリで早く売ってよ。どうせ暇なんだから!」
いつもの公園でベンチに座っていると、幼稚園児の兄妹が、公園の池にある小便小僧を見つけて笑っている。
「あーっ!おしっこしてる!おちんちん出してるよ!お母さん!いいの?」
「真似しちゃダメよ。」
「由依もしたい!」
「女の子はダメ!絶対だめなんだよ。」
それを聞いて淳之介は閃いた。
「小便小僧か、、、そうだ!こうなったら『大便小僧』を創ってやる!これは世界初だな!」
しかし、このアイデアは失敗に終わった。
調べてみると既に大便小僧は何体も製作されていたのだ。
「まさかなあ、もうあったとはなあ。他になんかないかなあ〜。
『小便おっさん』じゃ気持ち悪いしなあ。『大便おっさん』『屁こきおっさん』ん〜だめだなあ。
ダメだ、『小便小僧』は忘れよう!」
「彫刻と言えば、そうだ、原点に戻って裸婦だな!モデルを雇う金がないし、、
そうだ!あぐりに頼もう!」
淳之介は家に帰ると早速あぐりに裸婦像のモデルになって欲しいと頼んだ。
「なにバカなこと言ってんの!こんな歳でヌードになってどうすんのさ!」
「いや、しわとたるみはカットするからさ!」
「バカ言ってんじゃないわよ!誰のしわとたるみよ!し、失礼ね!やだからね!自分で自分をモデルにでもしなよ!」
「なるほど、、、こうなったらあぐりの言う通りに、自分でモデルになって裸婦像に作り換えればいいんだな。よし!」
それから淳之介は毎日裸になって自分をモデルにして裸婦像っぽく彫刻を創作した。
出来上がった塑像は男とも女とも言えないどちらにも見える中性的なものだった。
今はLGBTやトランスジェンダー、パンセクシュアルの時代。
これが時代感覚とマッチしたのか、淳之介の塑像はついに日の目を見て、高く評価された。
吉来家は一年後には裕福になり、お金の心配はなくなっていた。
自分には立派なアトリエを造り、あぐりにはモダンな美容院を新築してプレゼントした。
どうやら、今は夫婦仲良く暮らしてるようである。
ちょっと覗いてみよう!
「あんた!また半額シールのものあれこれ買ってきて!何回言ったらわかるの!この蛍光灯の半額って、これどこに使うの?うちに蛍光灯なんてどこにも無いじゃない!うちのお客さんから、ご主人はお金持ちになっても節約家ですね〜!って馬鹿にされてんのよ!」
それとさ、あんたのモデルはやらない!っ言ってるでしょう!何回も言うの気持ち悪いからやめて!!」
「蛍光灯とかはさ、いつもメルカリでちゃんと売ってるよ!」
「あんたさ、600円の蛍光灯を半額で300円で買って、メルカリでいくらで売ってるの?100円でしょ!計算できないの!200円も損したんだよ!
それとさ、その創りかけの『大便おじさん』の彫刻は絶対止めてよね!」
「あれはね、大便してるおじさんじゃないよ。あれは宇宙人なんだよ!
世界初の『大便宇宙人』だよ^ ^」
これは夫婦仲がいいということですね!
『大便宇宙人』も完成楽しみですね~!
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槙島源太郎
作家兼発行人
年齢、住所不詳。謎に包まれるユーモア小説作家、槙島源太郎が贈る笑いの数々。
ビジネス書の作家としても活躍中。
現在まあまあ週に一度のリリースを目指して書き続けている。
夢は世界を笑いに包み、平和を取り戻す脚本家兼映画監督。
今年60歳になった吉来淳之介は、全く売れない自称彫刻家である。
生活は美容院を営んでいる妻のあぐり頼みである。
「あんた、もう警備員でもタクシーの運転手でも何でもやってよ!それにさ、お店に顔出さないでって言ってるでしょう!」
「なんでだよ!
俺が顔出すからお客さんが『髪結の亭主登場!』って拍手してるじゃないか^ ^
皆んな、俺が店にでてくるの楽しみにしてるんだよ」
「何言っちゃってんの!それね、バカにされてんのよ!
その辺の感覚がなんか違うね、、。
ズレてるっちゅうか。」
「もういいよ。散歩でもしてくるよ。」
「安い割引シール貼ってるの、スーパーでなんだりかんだり買ってこないでよ!もうみんな噂してんだから!恥ずかしいったらありゃしないよ!」
「俺さ、多分病気なんだよ、、。あの割引シール見ると要らなくても知らないうちにカゴに入れてんだよなあ。」
「この前の半額のカセットテープさ、あれどうすんの?うちにカセットデッキ無いんだよ?メルカリで早く売ってよ。どうせ暇なんだから!」
いつもの公園でベンチに座っていると、幼稚園児の兄妹が、公園の池にある小便小僧を見つけて笑っている。
「あーっ!おしっこしてる!おちんちん出してるよ!お母さん!いいの?」
「真似しちゃダメよ。」
「由依もしたい!」
「女の子はダメ!絶対だめなんだよ。」
それを聞いて淳之介は閃いた。
「小便小僧か、、、そうだ!こうなったら『大便小僧』を創ってやる!これは世界初だな!」
しかし、このアイデアは失敗に終わった。
調べてみると既に大便小僧は何体も製作されていたのだ。
「まさかなあ、もうあったとはなあ。他になんかないかなあ〜。
『小便おっさん』じゃ気持ち悪いしなあ。『大便おっさん』『屁こきおっさん』ん〜だめだなあ。
ダメだ、『小便小僧』は忘れよう!」
「彫刻と言えば、そうだ、原点に戻って裸婦だな!モデルを雇う金がないし、、
そうだ!あぐりに頼もう!」
淳之介は家に帰ると早速あぐりに裸婦像のモデルになって欲しいと頼んだ。
「なにバカなこと言ってんの!こんな歳でヌードになってどうすんのさ!」
「いや、しわとたるみはカットするからさ!」
「バカ言ってんじゃないわよ!誰のしわとたるみよ!し、失礼ね!やだからね!自分で自分をモデルにでもしなよ!」
「なるほど、、、こうなったらあぐりの言う通りに、自分でモデルになって裸婦像に作り換えればいいんだな。よし!」
それから淳之介は毎日裸になって自分をモデルにして裸婦像っぽく彫刻を創作した。
出来上がった塑像は男とも女とも言えないどちらにも見える中性的なものだった。
今はLGBTやトランスジェンダー、パンセクシュアルの時代。
これが時代感覚とマッチしたのか、淳之介の塑像はついに日の目を見て、高く評価された。
吉来家は一年後には裕福になり、お金の心配はなくなっていた。
自分には立派なアトリエを造り、あぐりにはモダンな美容院を新築してプレゼントした。
どうやら、今は夫婦仲良く暮らしてるようである。
ちょっと覗いてみよう!
「あんた!また半額シールのものあれこれ買ってきて!何回言ったらわかるの!この蛍光灯の半額って、これどこに使うの?うちに蛍光灯なんてどこにも無いじゃない!うちのお客さんから、ご主人はお金持ちになっても節約家ですね〜!って馬鹿にされてんのよ!」
それとさ、あんたのモデルはやらない!っ言ってるでしょう!何回も言うの気持ち悪いからやめて!!」
「蛍光灯とかはさ、いつもメルカリでちゃんと売ってるよ!」
「あんたさ、600円の蛍光灯を半額で300円で買って、メルカリでいくらで売ってるの?100円でしょ!計算できないの!200円も損したんだよ!
それとさ、その創りかけの『大便おじさん』の彫刻は絶対止めてよね!」
「あれはね、大便してるおじさんじゃないよ。あれは宇宙人なんだよ!
世界初の『大便宇宙人』だよ^ ^」
これは夫婦仲がいいということですね!
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作家兼発行人
年齢、住所不詳。謎に包まれるユーモア小説作家、槙島源太郎が贈る笑いの数々。
ビジネス書の作家としても活躍中。
現在まあまあ週に一度のリリースを目指して書き続けている。
夢は世界を笑いに包み、平和を取り戻す脚本家兼映画監督。