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火星に人類の移住が始まって今日でめでたく100年が経ち、これから火星のパブリック施設の中央に位置するマーズパブリックセンターで盛大な記念式典が行われようとしている。

この日のために地球連邦のスーダ連邦会議長を始め、地球連邦と対立している各国の元首も来火し、火星移民団の第50代代表のタミー団長が出迎えた。

地球連邦は地球の7割を掌握しているが、残り3割の国の全ての元首の参加する式典は過去に地球でも例が無く、これからの地球の平和にも寄与するであろう。

記念式典では、センターの大ホールとそれに放射状に連なる大回廊に10万人の全移住民が集まりこの日を祝っていた。


「地球連邦のスーダ連邦会議長、各国の大統領、元首の皆さん。火星にようこそ! 
ここは昨日まで地球の移住民の地でありましたが、本日この式典を持って移住民と言う名称に終止符を打ち、これからは火星国と言う名前にします。そしてその国民から選ばれた私は初代議長になることをここに宣言いたします。

私たち火星国民は100年前のたった6人から始まり、既に本日10万3001人となりました。そのうちの57291人はこの火星で生まれた火星人です。そして今後30年以内に100万の人口を目指しています。

私達火星国のこれまでの繁栄は、地球の皆さんの協力無しには成り立ちませんでした。

特に日本国からは、様々な専門性のある国民を積極的に移住民としてお迎えしており、過去の経験を元に私達に平和な国の実現のためにあらゆる対立を無くす統治体制を示してくれました。そのおかげで我々はこの100年間、一つの共同体の構成員として協力しながら発展を続けることができました。平和こそが人の願いであり、安定と発展の基本なのです。


また、日本の農業の技術協力で、火星の地表の5%に植物を栽培することができています。地球の植物面積は全表面積の8%ですが、海の無い火星での5%は大変な成果と言えます。私達は今後の技術革新でスピードを上げ、100年後には全地表の7割を植物にして火星を緑の惑星にしようと考えています。この植物の生育には二酸化炭素が必要ですが、この生成には日本のテラフォーミング技術が大きく貢献しています。大気中の二酸化炭素の増加により、大気は厚くなり地表の温度も上昇し、現在平均気温は100年前のマイナス70度から、現在はマイナス15度までになり、日本の北海道にある旭川市の冬とそう変わらないくらいになりました。植物面積の拡大と酸素生成装置の拡大により、酸素も増加し今や地球の地表の酸素濃度の半分の約10%にまでになっています。簡易生命維持装置で外を歩けるようになっています。私達はあと10年で植物を2倍にし生命維持装置無しでも生存できる酸素濃度18%にまで高めることを目標にしています。10年後の火星は地球の寒い地方の冬と同じくらいになり、厚手の服を着ていれば、外で呼吸ができるようになるのです。


さて、火星の環境についてお話ししてきましたが、本日は地球から起こしいただいた皆さんに、現在の火星国の日常をお伝えしたいと思います。きっとこのセレモニーにより、地球からの移住者が更に増えることでしょう。『火星に自由はない。不自由な統治で平和を維持している』と言う間違えた考えをぜひ、この機会に正しく理解をしていただきたいと思います。」


大画面には火星の政治体制から日常生活まで、映像により紹介されている。

それは全ての国民が会議長も含めて同じ給与であり、特定の情報端末以外のインターネットを使わず、個人情報も制限のない、地球とはまるで逆の統治制度であった。

「この制度に賛同した地球の皆さんの受け入れは今後飛躍的に増大するでしょう。

私達は、過去の地球でのあらゆる経験を元に皆が平等で犯罪のない世界を実現しました。

その原点となったのは、リーダーはいるが全て平等であり、人が人を助け、地域が地域の人を見守り、問題は地域の代表が話合いで解決するという日本人の祖先、縄文人が考えた政治制度でした。

また、犯罪を引き起こす怒り、嫉妬、性欲、物欲を抑制するメンタルチップの開発をした平仁(たいらひとし)教授も日本人です。これは、地球の皆さんが想像している感情を常に抑制するものではなく、犯罪にまで至るような時に働くものであり、人間の個性には全く影響しません。犯罪まで至らないことは結果的に本人も幸せであり、地域や国家の安定となります。


このメンタルチップは液体で接種され、脳に留まるように設計されています。

火星移住の際は、地球軌道ステーションから、クルーズロケットに乗船する前に接種していただきます。

皆さんはこのメンタルチップへの信頼性を大変心配しているようですので、特にその点をご説明します。

このメンタルチップは、火星にて80年前にさきほど紹介した日本人の科学者平仁教授を中心に設計され、製造が開始されました。

製造は外部から一切干渉されず、誰からも目視で観察することができる皆さんの真上に見えるドーム天井のスケルトンプラントで自動で製造されています。ここには、階段も入り口もなく、人間は近づくことはできません。また、電波と磁気シールド構造となっていて遠隔操作も不可能です。製造装置の寿命も4台が交代で稼働しており半永久的です。

人間が制御できるのは、プラントのオンとオフ、それに製造スピードだけであり、品質や精度などは一切コントロールできません。

このメンタルチップはこの80年の過去と現在の全国民、延20万人の使用で一度も問題が起きたことはありません。


また、このメンタルチップが実際に作用したケースはわすが0.3%であり、地球でのシュミレーション結果の12%と比較して火星の環境が如何に安定していて人間の平和な生活が保障されているかがお分かりいただけると思います。

つまり、誤解されているような人間の感情を国家がコントロールしているのではなく、火星での生活では犯罪にまで発展するような感情を持つ場面が少ないのです。



つづく


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槙島源太郎

作家兼発行人

年齢、住所不詳。謎に包まれるユーモア小説作家、槙島源太郎が贈る笑いの数々。

ビジネス書の作家としても活躍中。

現在まあまあ週に一度のリリースを目指して書き続けている。

夢は世界を笑いに包み、平和を取り戻す脚本家兼映画監督。